新卒の志望動機の書き方は4ステップ【まず型を覚える】

志望動機を結論・根拠・接点・貢献の4ステップで書く構成と文字数の目安を示した図

結論から書きます。新卒の志望動機は、次の4ステップの順番で書けば形になります。ゼロから文章を考える必要はありません。型に自分の経験を1つ入れるだけです。

ステップ

書く内容

400字での目安

①結論

なぜこの会社を志望するのか。理由を1文で言い切る

50〜70字

②根拠

そう思うに至った自分の経験を1つだけ書く

150〜180字

③接点

なぜ同業他社ではなくこの会社なのか。企業研究で拾った事実で示す

100〜120字

④貢献

入社後に自分の何をどう活かすか

60〜80字

この4ステップが、新卒の志望動機の基本構成です。多くの就活サイトで紹介されている構成とも大きくは変わりません。それだけ、読み手にとって理解しやすい順番だということです。

「志望動機の初めの書き方が分からない」という声をよく聞きます。書き出しは結論からで問題ありません。「私が貴社を志望する理由は、〜だからです」と1文で言い切ってください。凝った書き出しは不要です。読み手は1日に何十枚もESを読みます。最初の1文で何の話かが分かる文章ほど、続きを読んでもらえます。

結論の書き方でつまずく人は、理由を2つ以上入れようとしていることが多いです。理由は1つに絞ってください。「事業内容にも社風にも人にも惹かれた」と書くと、どれも浅くなります。一番強い理由を1つ選び、残りは面接で話せばよいのです。

この型は、履歴書の志望動機欄でも、ESの自由記述でも、面接で口頭で答える場合でも共通して使えます。提出先ごとに文章をゼロから作り直す必要はありません。変えるのは文字数と、話す量だけです。

この記事では、以下の順で進みます。まず採用担当者が志望動機のどこを見ているかを押さえます。次に書く前の準備、4ステップそれぞれの書き方と例文、文字数別の調整法、そして採用側が読むのをやめるパターンを解説します。読み終えたときに400字の志望動機が1本書き上がる構成にしています。

よくある質問

Q志望動機の書き出し(初め)はどう書けばいいですか?
A

結論から書いてください。「私が貴社を志望する理由は〜だからです」と志望理由を1文で言い切り、続けて根拠となる経験を書く流れが基本です。凝った書き出しや自分史の説明は不要です。読み手は短時間で多くのESを読むため、1文目で要点が分かる文章ほど続きを読んでもらえます。

Q志望動機と自己PRの違いは何ですか?
A

志望動機は「なぜこの会社か」、自己PRは「自分は何ができるか」に答えるものです。同じエピソードを両方に使っても構いませんが、結論の向きを変えてください。1つの文章に混ぜて書くと、志望理由も強みもぼやけ、どちらも伝わらなくなります。

Q履歴書とESで志望動機は変えるべきですか?
A

核となる内容は同じで問題ありません。文字数指定に合わせて削る量を調整し、両方を提出する企業では軸や志望理由が食い違っていないかだけ確認します。最も多い事故は企業名の書き間違いです。提出前に社名を必ず読み返してください。

Q志望理由が「なんとなく」しかないときはどうすればいいですか?
A

「なんとなく」のきっかけを起点に、企業研究で理由を肉付けしてください。製品を使っていた、説明会での社員の回答が具体的だった、といった小さな事実で十分です。嘘の感動エピソードを作るより、小さくても本当の理由のほうが面接での深掘りに耐えます。

Q生成AIに志望動機を書いてもらってもいいですか?
A

構成の壁打ちや添削には有効です。ただし出力をそのまま提出すると、どの企業にも当てはまる文面になりやすく、コピペ型として読まれます。面接で深掘りされたときに答えられない実害もあります。経験と接点の部分は必ず自分の言葉で書いてください。

採用担当者は志望動機のどこを見ているのか

書き方に入る前に、読み手が何を知りたいのかを押さえておきましょう。ここを外すと、文章がきれいでも評価につながりません。採用担当者は「良い文章」を探しているのではなく、会って話を聞くべき人かどうかを判断しています。

企業が確かめたい3つのこと

志望動機を読むとき、採用担当者が確かめたいことは大きく3つです。

  • 自社とのマッチ度: この学生の価値観や就活の軸は、自社の仕事や環境と合っているか。合っていなければ、入社後に本人がつらくなる
  • 志望度: 内定を出したら本当に来てくれるのか。他社にも同じ文章を送っていないか
  • 活躍イメージ: 入社後、どの部署で何をしている姿が浮かぶか。ここが浮かばないと、社内で通しにくい

この3つはどれも、熱意の強さだけでは伝わりません。「第一志望です」「どうしても入りたいです」と書いても、判断材料にはならないのです。判断材料になるのは、あなたの具体的な経験と、その会社に関する具体的な事実です。

なお、企業がどのような採用方針で若手を採っているかは、公的な調査でも継続的に調べられています。企業側の採用実態を俯瞰したい場合は、厚生労働省「若年者雇用実態調査」(2026年8月29日閲覧)の概況が入口になります。就活メディアの記事だけでなく、一次情報にも一度目を通しておくと、業界研究の解像度が上がります。

新卒の志望動機は「実績」ではなく「理由の筋」で読まれる

中途採用の志望動機は、実務経験と実績で評価されます。前職で何をやってきたかが明確なので、志望動機もそこから逆算して読まれます。

一方、新卒は前提が違います。学生時代の経験は、その多くがアルバイト、サークル、ゼミ、インターンシップに集まります。応募者どうしで実績の差はほとんどつきません。だからこそ、採用担当者は別のところを見ます。それが理由の筋が通っているかです。

理由の筋とは、「あなたの経験」→「そこから生まれた考え」→「だからこの会社」という流れに、無理がないことを指します。たとえば、経験として「一人で黙々と作業する仕事にやりがいを感じた」と書いた人が、志望理由で「チームで議論しながら進める環境に惹かれた」と書けば、筋が通りません。読み手は「本当はどちらなのだろう」と思います。

逆に、動機そのものが派手でなくても、経験と志望理由がつながっていれば十分に評価されます。「大学で困ったこと」レベルの小さな出発点でも構いません。むしろ小さいほうが、面接での深掘りに耐えます。新卒の志望動機は、上手さではなく一貫性で読まれていると考えてください。

書く前の準備: 自己分析と企業研究から「接点」を見つける

自己分析の軸と企業研究で集めた事実を重ねて接点を見つける流れを示した図

結論として、いきなり書き始めないでください。志望動機が書けない原因は、文章力ではなく材料不足です。材料は「自分の軸」と「企業の事実」の2種類だけです。この2つを先に揃えれば、あとは型に並べるだけになります。

自己分析: 就活の軸を「経験+理由」で言えるようにする

まず、就活の軸を1〜2本に絞ります。軸とは「仕事を選ぶうえで自分が大事にしたい条件」です。ただし「成長できる環境」「人が良い会社」では軸として機能しません。どの企業にも当てはまってしまうからです。

軸を機能させるコツは、必ず経験とセットで言えるようにすることです。次の3つの質問に答えてみてください。

  1. 学生時代、時間を忘れて取り組めたことは何か。そのとき何が面白かったのか
  2. 逆に、続けるのがつらかったことは何か。何がつらかったのか
  3. 誰かに感謝された、あるいは役に立てたと感じた場面はどれか

ここで出てきた場面を、「いつ・何をして・何を感じたか」の3点で書き出します。そして「なぜそう感じたのか」を2回自問してください。たとえば「人に教えるのが面白かった」→「なぜ?」→「相手ができるようになる瞬間が見えたから」→「なぜ嬉しい?」→「自分の工夫が結果に直結したから」。ここまで掘ると、軸は「自分の工夫が結果として見える仕事」という形になります。この粒度なら、志望動機の根拠として使えます。

企業研究: その会社にしかない事実を3つ拾う

次に、志望先についてその会社にしかない事実を3つ拾います。観点は、事業・顧客・働き方の3つに分けると集めやすいです。

  • 事業: 主力サービスは誰のどんな課題を解決しているか。競合と何が違うか
  • 顧客: 顧客は企業か個人か。契約の規模や取引期間はどうか
  • 働き方: 若手にどこまで任せるか。評価や異動の仕組み、部署の人数構成はどうか

注意点は、採用サイトのキャッチコピーをそのまま使わないことです。「挑戦を歓迎する社風」「風通しの良い組織」は、どの企業も掲げています。それを引用しても差別化になりません。拾うべきは、数字・仕組み・具体的な取引先名など、言い換えの余地がない事実です。

情報源は、企業の公式サイトのサービスページ、IR資料(上場企業なら中期経営計画)、代表や社員のインタビュー、そして説明会やインターンシップで直接聞いた話です。とくに説明会で自分が質問して得た回答は、他の学生が書けない材料になります。ちなみに広報活動や選考の開始時期については、政府から企業側への要請が出ています。時期の全体像は内閣官房「新卒者の就職・採用活動に関する要請」(2026年8月29日閲覧)で確認できます。説明会が本格化する前に、軸だけは固めておくと動きやすくなります。

軸と事実の「接点」がそのまま志望動機の核になる

最後に、軸と事実を並べて重なる部分を探します。これが「接点」です。スマホのメモでも構いません。左に軸、右に企業の事実を書き、線でつなぐイメージです。

たとえば軸が「自分の工夫が結果として見える仕事」、企業の事実が「若手が入社1年目から顧客先に同行し、提案内容を自分で組み立てる」なら、この2つが接点です。志望動機のステップ③はこの接点をそのまま書けばよく、ここが埋まると文章全体の説得力が変わります。接点が1つも見つからない場合は、企業研究が足りないか、その企業と本当に合っていない可能性があります。どちらなのかを確かめること自体が、就活の判断材料になります。

【例文つき】4ステップそれぞれの書き方

志望動機の接点の良い例と悪い例を左右で比較した図

ここが記事の中核です。まず完成形を1本お見せします。架空のIT企業(業務用ソフトを開発する会社)を志望する場合の、400字想定の例文です。すべて当編集部の書き下ろしで、架空の設定です。他媒体からの引用ではありません。そのまま写すのではなく、構造を真似てください。

【当編集部作成・400字の例文】

私が貴社を志望する理由は、現場で使われ続ける業務用ソフトを、顧客と直接話しながら改善していく開発体制に魅力を感じたからです。大学2年の夏から、家業の小さな印刷会社で受注管理をExcelからクラウドツールへ移す作業を手伝いました。入力の手間が減り、母が「夜の作業が1時間短くなった」と話した瞬間に、道具ひとつで人の時間が変わることを実感しました。以来、使う人の隣で改善を回す仕事に就きたいと考えています。貴社は導入後も担当者が月1回顧客先を訪問し、要望をそのまま開発チームへ持ち帰る体制を取られていると、説明会で伺いました。開発と顧客の距離が近い点が、私の関心と重なります。入社後は、聞いた話を整理して言葉にする力を活かし、現場の小さな不便を拾って改善提案につなげる担当者になりたいです。

この例文を4ステップに分解しながら、各ステップの書き方を見ていきます。

ステップ1: 結論 — 志望理由を1文で言い切る

例文の1文目が結論です。「貴社の〜に魅力を感じたからです」という形で、理由を1つだけ書きます。書き出しに悩む時間はここでゼロにできます。

ポイントは、魅力を感じた対象を具体的に書くことです。「事業内容に魅力を感じた」では中身がありません。「顧客と直接話しながら改善していく開発体制」まで踏み込むと、続きを読む理由になります。

NGの書き換え例です。

  • before: 私は昔からIT業界に興味があり、成長性の高い貴社で働きたいと考えました
  • after: 私が貴社を志望する理由は、顧客と直接話しながら製品を改善する開発体制に魅力を感じたからです

beforeは業界の話で終わっていて、なぜその会社かが1文目にありません。afterは会社の特徴に触れています。

ステップ2: 根拠 — 軸が生まれた経験を1つだけ語る

例文の2〜4文目が根拠です。「大学2年の夏から」「家業の印刷会社で」「Excelからクラウドツールへ」と、いつ・何をしたかが具体的に書かれています。

エピソードは1つに絞ってください。2つ入れると、どちらも説明不足になります。また、実績の大きさは重要ではありません。全国大会や海外経験がなくても評価されます。必要なのは、その経験を通じて何を感じ、どんな考えを持つようになったかです。

書き方の順番は「いつ・何をして・何を感じたか」の3点セットです。とくに「何を感じたか」を1文で明記してください。例文では「道具ひとつで人の時間が変わることを実感しました」がそれに当たります。この1文が、ステップ1の結論とステップ3の接点をつなぐ蝶番になります。

  • before: 学生時代はアルバイトやサークル活動を通じて、粘り強く努力する姿勢を身につけました
  • after: 大学2年の夏から家業の受注管理をクラウドツールへ移し、母の作業時間が1時間短くなったと聞いて、道具が人の時間を変えると実感しました

ステップ3: 接点 — 「なぜ他社ではなくこの会社か」に答える

例文の5〜6文目が接点です。ここが最も差がつきます。同業他社にも当てはまる文章になっていないか、必ず確認してください。確認方法は簡単です。社名を競合他社に置き換えて読んでみること。それでも成立するなら、書き直しが必要です。

使う材料は、企業研究で拾った「その会社にしかない事実」です。例文では「導入後も担当者が月1回訪問し、要望を開発チームに持ち帰る体制」という具体的な仕組みを挙げ、自分の関心と重なると述べています。事実→自分の軸との重なり、の順で書くと収まりが良くなります。

ここで「貴社」と「御社」の使い分けにも触れておきます。書き言葉では「貴社」、話し言葉では「御社」が一般的です。ESや履歴書は「貴社」、面接では「御社」と覚えてください。文中で混在させるのは避けます。なお、応募先が団体や学校法人などの場合は「貴社」が使えないため、貴団体・貴校・貴法人といった表記に変えます。

  • before: 貴社は業界トップクラスの技術力と風通しの良い社風があり、成長できる環境だと感じました
  • after: 貴社は導入後も担当者が月1回顧客先を訪問し、要望をそのまま開発チームへ持ち帰る体制を取られていると説明会で伺いました

ステップ4: 貢献 — 「学びたい」ではなく「活かしたい」で締める

例文の最終文が貢献です。締めくくりで「学ばせていただきたい」「成長したい」だけで終わると、受け身に読まれます。企業は教育機関ではなく、一緒に事業を進める仲間を探しています。

型としては「自分の〜を活かして、〜したい」です。ここで挙げる強みは、ステップ2のエピソードから自然に出てくるものにしてください。例文では「聞いた話を整理して言葉にする力」を挙げ、家業での経験と地続きにしています。

入社後にやりたいことは、大きな構想でなくて構いません。むしろ「現場の小さな不便を拾って改善提案につなげる」のように、1年目の自分がやれる範囲で書いたほうが、活躍イメージが浮かびます。

  • before: 入社後は先輩方から多くを学び、一日でも早く成長したいと考えています
  • after: 入社後は、聞いた話を整理して言葉にする力を活かし、現場の小さな不便を改善提案につなげたいです

文字数別・提出先別の調整のしかた(200字/300字/400字・履歴書/ES/面接)

結論として、400字で1本作り、あとは削るのが最短です。短い指定のたびに書き直すのは非効率で、内容の質も落ちます。増やす方向で考えると、余計な形容詞が増えて薄まりがちです。

文字数指定は「400字で作って削る」が最短

削る順番には優先度があります。以下を目安にしてください。

指定文字数

残すもの

削るもの

400字

①結論 ②根拠 ③接点 ④貢献のすべて

—

300字

①結論 ②根拠(2文に圧縮)③接点 ④貢献

③の説明を1文に要約。エピソードの背景描写

200字

①結論 ②根拠(1文)③接点(1文)④貢献(1文)

エピソードの経緯。感想の重複。前置き

200字に圧縮した例を挙げます。先ほどの400字例文を当編集部で削ったもので、他媒体からの引用ではありません。

【当編集部作成・200字の例文】

私が貴社を志望する理由は、顧客と直接話しながら業務用ソフトを改善する開発体制に魅力を感じたからです。家業の受注管理をクラウド化する手伝いをし、道具ひとつで人の作業時間が変わると実感しました。貴社は導入後も担当者が顧客先へ通い、要望を開発に持ち帰られています。入社後は聞いた話を整理する力を活かし、現場の不便を改善提案につなげたいです。

4ステップの骨格は残したまま、修飾を落としているのが分かるはずです。削る作業では、まず「〜だと考えており」「〜という点において」といった冗長な接続表現を切ります。次にエピソードの背景説明を切ります。結論・接点・貢献の3つは最後まで残してください。

履歴書・ES・面接での使い分け

提出先ごとの注意点を整理します。数値の目安は統計ではなく、筆者が採用に関わってきた経験則として挙げます。

  • 履歴書: 手書きの欄がある場合、空白が多いと志望度が低く見えます。筆者の経験則では、欄の8〜9割を埋めると読み手の印象が安定します。行の途中で終わらせず、最後の行まで文字を置く意識で調整してください
  • ES: 履歴書と同じ内容を使って問題ありません。ただし両方を提出する企業では、軸や志望理由が食い違っていないかだけ確認します。最も多い事故は企業名の間違いです。前に応募した会社の社名が残っていると、その1点で評価が止まることがあります
  • 面接: 書いた文章の暗唱はしないでください。読み手はすでにESを読んでいます。面接では①結論と②根拠を30秒程度で話し、あとは質問に答える形で広げます。深掘りされる前提で、エピソードの前後の事情を思い出しておくと安心です

インターンシップの志望動機も、基本の型は同じです。違いは④の書き方です。本選考が「入社後にどう貢献するか」なら、インターンは「期間中に何を持ち帰り、何を提供できるか」に寄せると自然になります。

【採用側の本音】読むのをやめる志望動機・会いたくなる志望動機

採用担当者が読むのをやめる志望動機の4つのパターンをまとめた図

ここからは、ベンチャー・スタートアップで10年以上働き、採用にも関わってきた筆者の視点で書きます。選考期に大量の志望動機を読む側の実感です。前提として、採用担当者は志望動機を1枚あたり数十秒で読み進めます。じっくり味わってはもらえません。

読むのをやめる4つのパターン

読み進める手が止まるのは、だいたい次の4パターンです。

  • コピペ型: 社名を入れ替えても成立する文章。「業界をリードする」「風通しの良い社風」などが並び、当社に関する固有の記述が1つもない。同じ日に似た文章を3枚読むと、すぐに分かります
  • 受け身型: 「成長したい」「学ばせてほしい」で終わっている。何を提供してくれるのかが読み取れず、活躍イメージが浮かびません
  • 待遇型: 福利厚生、安定性、残業の少なさなど条件だけが理由になっている。条件は大事ですが、それだけなら条件の良い他社に流れると読まれます
  • 美辞麗句型: 熱意を表す言葉が続くのに、自分の経験が1つも出てこない。「強く共感しました」と書かれていても、何を経験してそう思ったのかが不明で、確かめようがありません

この4つに共通するのは、面接で深掘りする材料がないことです。採用担当者が志望動機を読む目的は、面接で聞くべき質問を見つけることでもあります。質問が思い浮かばない文章は、会う理由が作れません。

会いたくなる志望動機は「小さくても具体的」

逆に、会って話を聞きたくなるのは、動機が小さくても具体的で、本人の経験と地続きになっているものです。

たとえば印象に残っている例を紹介します(いずれも複数の事例をもとに、個人が特定されないよう再構成した仮名の例です)。都内私大・文系のAさんは、志望動機の出発点を「サークルの会計をやっていて、部費の集金がいつも遅れることに毎年イライラしていた」と書いていました。壮大な社会課題の話は一切ありません。ですが「集金の督促を自分でスプレッドシートに置き換えて管理した」「それでも人は動かないと分かった」という経験が続き、だから仕組みで人の行動を変える事業に関心があると書かれていました。この志望動機は面接で3つ以上の質問が思い浮かびました。実際に会って話を聞き、想定より深く考えていることが分かりました。

もう1つの例です。地方国公立・理系のBさんは、志望理由を「インターンで社員の方が、顧客のクレーム対応を翌日の会議で仕様変更の議題にしていたのを見た」と書いていました。たった1場面ですが、これは他社に置き換えられない記述です。実際に見た人しか書けません。

整理すると、採用側が見ているのは文章の上手さではありません。深掘りに耐えるかどうかです。「なぜそう思ったのですか」「その時どう動きましたか」「他にどんな会社を見ましたか」と3回聞かれても答えられる志望動機であれば、多少ぶきっちょな表現でも通ります。逆に、きれいに整っていても、1回の質問で答えに詰まる文章は、その場で評価が下がります。

とくにベンチャー・スタートアップの選考では、この傾向が強く出ます。人数が少ないため、入社後すぐに自分で判断して動く場面が多いからです。「指示されれば頑張れます」ではなく「自分の関心はここにあり、だから御社を選んだ」と言える人を探しています。だからこそ、志望動機の出発点は小さくてよいのです。本当の関心を、具体的に書いてください。

志望動機が書けない・思いつかないときの3つの突破口

手が止まっているなら、書き方以前の問題であることが多いです。突破口は3つあります。

1つ目は、「なぜ他社ではダメか」から逆算することです。志望動機が思いつかない人ほど、1社だけを見つめています。同業他社2社と並べて、事業・顧客・働き方を比較してみてください。比較すると差が見え、差が見えると理由が言葉になります。「A社は個人向け、この会社は法人向け。自分は顔が見える相手と長く付き合いたい」——この程度で十分に志望動機の核になります。比較表をスマホのメモに作るだけでも、書ける状態に近づきます。

2つ目は、正直な動機を出発点にすることです。「なんとなく」「知っていたから」「説明会の社員の雰囲気が良かったから」でも構いません。そこを起点に企業研究で肉付けします。たとえば「社員の雰囲気が良かった」なら、なぜそう感じたのかを分解します。質問への回答が具体的だった、他部署の話まで語れていた、といった事実が出てくれば、それは組織の情報共有の仕組みの話につながります。

やってはいけないのは、感動的なエピソードをでっち上げることです。嘘は面接で崩れやすくなります。深掘りされたときに、その場で作った設定は矛盾するからです。小さくても本当の理由のほうが、質問に耐えます。

3つ目は、生成AIを壁打ちと添削に限定して使うことです。構成の相談や、冗長な表現の指摘には有効です。「この文章で分かりにくい箇所を指摘して」「深掘り質問を5つ作って」といった使い方は、時間の節約になります。

一方で、出力された文章をそのまま提出するのは避けてください。理由は2つあります。1つは、どの企業にも当てはまる文面になりやすく、前章のコピペ型として読まれることです。もう1つは実害で、自分の言葉でない文章は面接での深掘りに答えられません。筆者も、ESの文章と本人の話す内容が明らかに別人のケースに何度も出会いました。経験と接点の2つは、必ず自分の言葉で書いてください。

それでも書けない場合は、第三者に見せましょう。大学のキャリアセンター、ゼミの先輩、就活エージェントなど、自分以外の目を入れると、抜けている情報がすぐに分かります。「この会社を選んだ理由が伝わらない」と言われたら、ステップ③の接点が不足しているサインです。

まとめ: 型に自分の経験を1つ入れれば志望動機は書ける

新卒の志望動機は、才能ではなく手順で書けます。最後に4ステップを再掲します。

ステップ

書く内容

①結論

「私が貴社を志望する理由は〜だからです」と1文で言い切る

②根拠

軸が生まれた経験を1つだけ、いつ・何をして・何を感じたかで書く

③接点

企業研究で拾った固有の事実と、自分の軸の重なりを書く

④貢献

「学びたい」ではなく「自分の〜を活かして〜したい」で締める

今日やることは3つだけです。①就活の軸を1本決める ②志望先について「その会社にしかない事実」を3つ拾う ③400字で1本書いてみる。書き上がったら、社名を競合他社に置き換えて読み返してください。それでも成立するなら、ステップ③を書き直します。この確認だけで、志望動機の質は変わります。

新卒の志望動機の書き方に関するよくある質問

最後に、よく寄せられる質問に答えます。

志望動機の書き出し(初め)はどう書けばいいですか?

結論から書きます。「私が貴社を志望する理由は〜だからです」と志望理由を1文で言い切り、続けて根拠となる経験を書いてください。凝った書き出しや自分史の説明から始める必要はありません。

志望動機と自己PRの違いは何ですか?

志望動機は「なぜこの会社か」、自己PRは「自分は何ができるか」に答えるものです。同じエピソードを両方で使っても構いませんが、結論は変えてください。混ぜて書くと、どちらも伝わらなくなります。

履歴書とESで志望動機は変えるべきですか?

核となる内容は同じで問題ありません。文字数に合わせて削る量を変え、両方提出する企業では矛盾がないかを確認します。企業名の書き間違いにはとくに注意してください。

志望理由が「なんとなく」しかないときはどうすればいいですか?

「なんとなく」のきっかけを起点に、企業研究で理由を肉付けします。製品を使っていた、説明会の社員の答え方が具体的だった、といった小さな事実で構いません。嘘のエピソードを作るより、面接での深掘りに耐えます。

生成AIに志望動機を書いてもらってもいいですか?

構成の壁打ちや添削には有効です。ただし出力をそのまま提出すると、どの企業にも当てはまる文面になりやすく、面接での深掘りにも答えられません。経験と接点は自分の言葉で書いてください。