職種研究とは?業界研究・企業研究との違い

業界研究・企業研究・職種研究の調べる対象と中心の問いを比べた図

職種研究とは、その職種の人が何を作り(成果物)、誰と働き(相手)、1日をどう過ごし、新卒が最初に何を担当するかを調べて、入社後の自分の仕事を説明できる状態にすることです。職種名を覚える作業ではなく、その名前の中身を分解する作業だと考えてください。

職種は、1つの会社の中だけにある役職名とは違い、会社をまたいで存在する「仕事の種類」です。公的な整理もあります。ハローワークの解説によれば、厚生労働省編職業分類は職務の類似性などに基づいて職業を区分した体系で、大分類15・中分類99・小分類440の3段階で構成されています(ハローワークインターネットサービス「職業分類とは」、2026年9月26日閲覧)。この分類は職業安定法第15条に基づき、労働力需給調整機関で共通して使われるものとして作成されています(厚生労働省「厚生労働省編職業分類の改定について」(令和4年4月14日 職発0414第5号)、2026年9月26日閲覧)。

就活で使う3つの「研究」は、調べる対象が異なります。違いを整理します。

項目

業界研究

企業研究

職種研究

調べる対象

市場・商流・収益源

1社の事業・強み・体制

仕事の種類ごとの中身

中心の問い

どの市場で、誰に何を売って稼ぐか

この業界の中で、この会社は何が違うか

この会社に入った自分は毎日何をするか

主な情報源

業界団体・官公庁の統計、業界地図

企業サイト、IR資料、採用ページ

厚労省job tag、募集要項、社員紹介

ESで使う場面

「なぜこの業界か」

「なぜこの会社か」

「なぜこの職種か」「入社後にやりたいこと」

進める順番

入口として広く

最後に絞り込む

業界と並行、または業界より先でも可

順番は業界研究から入っても、職種研究から入っても構いません。実務的には「職種 × 業界」を掛け合わせて企業を絞ると考えると迷いません。たとえば「企画職 × 食品」と「企画職 × SaaS」では、扱う商材も顧客も違います。どちらか一方だけでは、応募する会社を選ぶ理由になりません。

なお「業種研究」という言葉もありますが、業種は会社の事業の種類を指すため、実質的には業界研究とほぼ同じ意味で使われます。職種は会社をまたぐ仕事の種類、業種は会社側の分類、と覚えておけば十分です。

よくある質問

Q職種研究とは何ですか?
A

職種ごとの仕事内容を「成果物・一緒に働く相手・1日の流れ・新卒の最初の担当」の4軸で調べ、入社後の自分の仕事を説明できるようにする作業です。職種は会社をまたいで存在する仕事の種類で、厚生労働省編職業分類では大分類15・中分類99・小分類440に整理されています。

Q職種研究のやり方は?
A

4ステップで進めます。まず厚労省のjob tagで職種の全体像とタスクを確認し、次に志望企業の募集要項で募集職種と配属の決まり方を見ます。続いて社員紹介を「相手・成果物・1日・1年目」の4点で読み、最後に共通シートへ記入して、空欄を説明会やOB訪問の質問に変えます。

Q業界研究と職種研究の違いは何ですか?
A

業界研究は「どの市場で、誰に何を売って稼ぐか」を調べる作業です。職種研究は「その中で自分が毎日何をするか」を調べる作業です。対象が市場か仕事かで異なります。どちらか一方だけでは応募企業を絞る理由にならないため、職種と業界を掛け合わせて企業を選ぶのが現実的です。

Q業種研究と職種研究の違いは?
A

業種は会社の事業の種類を指す言葉で、業種研究は実質的に業界研究とほぼ同じ意味で使われます。一方、職種は会社をまたいで存在する仕事の種類です。つまり業種は会社側の分類、職種は働く人の仕事の分類、と整理しておけば混同しません。

Q職種研究はいつから始めればいいですか?
A

インターンや説明会で職種名を耳にし始めた時点が始めどきです。遅くとも、最初に受ける選考のエントリー締切から逆算して3カ月前までには着手しておくと、ESや面接で「なぜこの職種か」に答える準備が間に合います。

職種名だけで判断すると起きるズレ|同じ「営業」でも会社で仕事が違う

営業職を企業形態・対象顧客・営業方法の3軸で分類した図解

職種名は分類のラベルであって、仕事内容の説明ではありません。同じ「営業」でも、会社の事業と顧客と売り方が変われば、1日の過ごし方はほとんど別物になります。

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、営業の仕事を3つの切り口で整理しています。勤務先の企業形態(メーカー営業・代理店営業・商社営業)、対象顧客(法人営業・個人営業)、営業方法(新規開拓営業・ルート営業・反響営業・飛び込み営業)です。同サイトは「営業の種類は、勤めている企業の形態によって変わってきます」「アプローチをかける相手によって変わってきます」と説明しています(厚生労働省 job tag「営業の仕事」、2026年9月26日閲覧)。

この3つを掛け合わせると、日常が想像しやすくなります。以下は架空例です。メーカー × 法人 × ルート営業なら、既存顧客への定期訪問、納期や在庫の調整、工場・物流部門とのやり取りが仕事の中心になりやすい形です。一方、代理店 × 法人 × 新規開拓なら、提案書の作成と初回訪問、社内の制作部門との打ち合わせに時間が割かれる形になります。同じ「営業」という2文字でも、作る資料も会う相手も異なります。

配属によって必要な知識が変わる点も、公的な職業情報に書かれています。job tagの「商社営業」のページには、取り扱う商品が幅広いため、どこに配属されるかによって実務に必要な専門知識は異なり、専門的な研修に加えてOJTで身につけるのが一般的だとあります。あわせて、各種商品を扱う総合商社と、特定の商品を扱う専門商社がある点も示されています(厚生労働省 job tag「商社営業」、2026年9月26日閲覧)。

筆者自身も、就活生のときは「営業」と「アカウントプランナー」の違いが説明できませんでした。2015〜17年ごろにデジタル専業の広告会社で働いてみると、同じポジション名でも会社によって担当範囲が違うことに驚きました。当時の一例にすぎませんが、職種名を手がかりに会社を選ぶと、入社後の想像と実際がずれやすいのは確かです。

結論はシンプルです。職種研究は「職種名 × 会社の事業 × 顧客 × 売り方」の単位で進めてください。ESに「営業をやりたい」と書くだけでは、どの営業を指しているのかが読み手に伝わりません。具体的な理解は、この4要素をそろえて初めて形になります。

1つの案件で職種はこうつながる|営業・企画・制作・管理部門の関係図

広告案件で営業・企画・制作・経理が成果物を受け渡す流れを示した関係図

職種は単独では仕事をしません。1つの案件が動くとき、複数の職種が成果物を順に受け渡しています。この流れが見えると、自分が志望する職種の位置も見えてきます。

広告の案件を例にします。job tagの「広告営業」の説明では、広告会社で広告企画を立てて広告主に働きかけ、受注から計画・実施・代金の回収までの進行管理にあたるとされ、社内の調査・分析部門や制作部門などあらゆる組織を動員して提案すると書かれています。採用が決まった後は広告主や社内の関係者と打ち合わせ・折衝・確認を繰り返し、掲載・放送後に効果を検証して報告します(厚生労働省 job tag「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。

この記述をもとに、受注から請求までの流れを、渡すもの(成果物)つきで並べます。経理・法務の関与は一般的な業務の説明です。

  • 広告主 → 営業:課題・予算・時期の相談を受ける
  • 営業 → マーケティング・調査担当:顧客の課題メモを渡し、市場・競合の分析を依頼
  • マーケティング・調査担当 → 企画・プランナー:分析資料を渡す
  • 企画・プランナー → 営業/制作:企画書を渡す
  • 制作(デザイナー・コピーライター・動画制作) → 営業:デザイン案・広告素材を渡す
  • 営業 → 媒体担当:掲載枠の手配を依頼し、実施スケジュールを確定
  • 法務:契約書の内容を確認し、取引条件のリスクを見る
  • 営業 → 広告主:掲載後の効果検証レポートを提出して報告
  • 営業 → 経理:受注情報を渡し、請求書の発行・入金確認につなげる

同じ型は、広告以外でも使えます。メーカーの新製品なら「企画 → 開発・技術 → 生産管理 → 営業 → 経理」、ITの受託開発なら「営業 → 要件定義 → 設計・開発 → テスト → 保守」と、矢印の上に渡す成果物を書けば、同じように読めます。分野が違っても、職種は多くの場合、前工程と後工程に挟まれています。

関係図の見方:自分の職種は「誰から受け取り、誰に渡すか」で決まる

関係図を見るときは、自分が志望する職種の箱に注目し、入ってくる矢印と出ていく矢印を確認してください。入ってくる矢印は「誰から、どんな情報や依頼を受け取るか」、出ていく矢印は「誰に、どんな成果物を渡すか」です。

この2本の矢印が、そのまま次の章で紹介する共通シートの「①成果物」「②一緒に働く相手」の欄になります。たとえば企画職に興味があるなら、受け取るのは営業からの課題メモと調査担当の分析資料、渡すのは企画書、という具合です。ここまで書ければ、「企画に興味があります」よりもずっと具体的な理解になります。

逆に、矢印が1本も書けない職種は、まだ調べ切れていない職種です。空欄のままにして、後から説明会やOB訪問で埋めれば問題ありません。

職種研究の共通シート|4つの軸と記入例

成果物・相手・1日の流れ・新卒の担当という職種研究の4軸を示した図

職種研究のやり方で迷ったら、調べる軸を4つに絞ってください。①成果物 ②一緒に働く相手 ③1日の流れ ④新卒の最初の担当です。この4つは会社の公開情報と説明会で確認でき、ESや面接でそのまま使える内容になります。

「やりがい」「向いている人」を最初に調べないのには理由があります。どちらも会社や本人によって答えが変わり、調べても比較の材料になりにくいからです。年収・待遇も、同じ職種名の中で幅が大きいため、本記事では扱いません。まず事実で埋められる4軸から着手するほうが、職種研究のシートは早く完成します。

①成果物:その職種が完成させるもの

成果物とは、その職種の人が手を動かして完成させ、誰かに渡すものです。提案書、企画書、設計書、月次の集計表、出荷計画、契約書のチェック結果などが当てはまります。「調整する」「管理する」といった動詞だけでは、成果物は見えません。紙・データ・画面として残るものを探してください。

job tagの職業詳細にある「タスク(職業に含まれるこまかな仕事)」は、この欄の下書きに使えます。たとえば広告営業では、商品・サービスの理解(95.9%)、企画書やサンプルの作成(95.9%)、見込み客の現行の広告と販売促進計画の情報収集(87.8%)といったタスクの実施率が示されています(厚生労働省 job tag「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。

②一緒に働く相手:社内と社外

相手は社内と社外に分けて書きます。社内は上司・同じチーム・他部署、社外は顧客・取引先・協力会社です。同じ職種でも、社外の人と会う時間が長い職種と、ほぼ社内で完結する職種では、1日の使い方が変わります。

ここで前章の関係図が効いてきます。誰から受け取り、誰に渡すかを書き出せば、相手の欄は自然に埋まります。

③1日の流れ:時間の使い方

午前と午後に分けて、何をしている時間が長いかを書きます。外出・会議・自席での作業の比率が分かれば十分です。社員紹介の「1日のスケジュール」記事があれば、そこから拾えます。

細かい時刻を暗記する必要はありません。「外出が多いのか」「資料を作る時間がまとまって取れるのか」という粒度で把握できれば、志望理由を書くときの材料になります。

④新卒の最初の担当:1年目に任されること・任されないこと

4軸の中で最も見落とされやすいのがこの欄です。その職種の完成形ではなく、入社1年目に実際に任される範囲を調べます。あわせて「1年目はまだ任されないこと」も書いておくと、入社後の想像とのズレが減ります。

筆者の例で言えば、2015〜17年ごろに在籍していたデジタル専業の広告会社では、最初に任されたのは先輩の商談・訪問への同席でした。その後しばらくは、資料作成と顧客訪問が仕事の大半でした。当時のその会社での一例ですが、「1年目=提案の主担当」とは限らない、という前提は持っておいて損はありません。

記入例:同じ「営業」でも会社で6項目が変わる(架空例)

以下は架空例です。A社・B社とも実在の企業ではありません。job tagの切り口(企業形態 × 対象顧客 × 営業方法)を組み合わせて作った比較です。

項目

A社(メーカー・法人向け・ルート営業)

B社(広告代理店・法人向け・新規開拓営業)

職種名

営業(法人ルート)

営業(アカウント担当)

会社の事業と顧客

産業用部品の製造。顧客は既存の取引先メーカー

広告の企画・運用。顧客はこれから取引を始める事業会社

①成果物

見積書、納期回答、月単位の出荷計画、訪問報告

提案書、企画書、実施後の効果検証レポート

②一緒に働く相手

社内:生産管理・品質保証・物流/社外:取引先の購買担当

社内:企画・制作・媒体担当・経理/社外:新規の見込み顧客

③1日の流れ

午前に既存顧客を訪問、午後に納期調整と社内会議

午前に社内打ち合わせと資料作成、午後に初回訪問と提案

④新卒の最初の担当

先輩担当顧客のサブ担当。見積作成と納期確認から

先輩の商談へ同席し、議事録と資料作成を担当

確認した情報源

採用ページの職種紹介、募集要項、job tagの職業詳細

社員紹介記事、会社説明会、job tag「営業の仕事」

説明会で聞く質問

1人が担当する顧客数と訪問頻度は?

新人が提案の主担当になるのは何年目ごろ?

8行のうち、職種名を除く6行が異なっています。ここまで書き分けられれば、「なぜこの会社の営業なのか」に自分の言葉で答えられます。

次の空欄版をコピーして、自分が調べた会社の事実に書き換えてください。

項目

A社

B社

職種名

会社の事業と顧客

①成果物

②一緒に働く相手

③1日の流れ

④新卒の最初の担当

確認した情報源

説明会で聞く質問

なお、営業・マーケティングなど個別の職種の詳しい仕事内容は、別記事で扱います。

職種研究のやり方4ステップ|job tag → 募集要項 → 社員紹介 → シートに記入

job tagから募集要項、社員紹介、シート記入へと進む職種研究の4ステップ図

職種研究のやり方は、公的な職業情報で全体像をつかみ、会社の一次情報で具体化し、最後にシートへ落とす、の順で進めると効率的です。4ステップに分けて説明します。

ステップ1:厚労省 job tag で職種の全体像とタスクを見る

最初に、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)を開きます。このサイトは「ジョブ」(職業・仕事)、「タスク」(仕事の内容を細かく分解したもの)、「スキル」(仕事をするのに必要な技術・技能)などの観点から職業情報を見える化し、就職活動や企業の採用活動を支援するWebサイトです。就業経験のない人が、どんな職業があるかをさまざまな切り口から探し、その職業でどんな仕事内容が一般的に行われ、どんなスキル・知識を持った人が働いているかを調べられると説明されています。掲載情報は労働政策研究・研修機構(JILPT)の「職業情報データベース」を活用して作成されています(厚生労働省 job tag「当サイトについて」、2026年9月26日閲覧)。

探し方も複数あります。トップページには「テーマ」「イメージ検索(地図)」「仕事の性質」「スキル・知識など」「免許・資格」「職種カテゴリー」「産業別」といった切り口と、フリーワード検索、自己診断ツール(しごと能力プロフィール作成・キャリア分析)が用意されています(厚生労働省 job tag トップページ、2026年9月26日閲覧)。

職種名から探すなら「職種カテゴリーで検索」が使いやすい入口です。大分類は14区分で、事務・管理職/営業/販売/接客、理美容、調理、サービス/介護、福祉/保育、教育/医療、看護、保健/製造、修理、保全、検査、印刷/技術職(建設、開発、IT)、専門職/建築、土木、電気工事/警備、施設管理、設備運転/運輸(運転)、配送/清掃・洗浄、倉庫、包装、軽作業/農業、林業、漁業に分かれます。たとえば「事務、管理職」の下には、一般事務・事務補助、総務事務・人事事務、会計・経理事務、営業事務・販売事務、企画事務・マーケティングなどの中分類があります(厚生労働省 job tag「職種カテゴリーで検索」、2026年9月26日閲覧)。

個別の職業詳細ページでは、「どんな仕事?」「就業するには?」「労働条件の特徴」「しごと能力プロフィール」「類似する職業」「関連リンク」といった項目と、タスクの実施率、学歴や入職前後の訓練期間、統計データを確認できます(厚生労働省 job tag「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。タスクの実施率は「その職業の人が、どの作業を実際に行っているか」の目安なので、シートの①成果物と③1日の流れの下書きに使えます。

ステップ2:採用ページ・募集要項で「募集職種」と「配属の決まり方」を確認する

次に、志望する会社の採用ページと新卒募集要項を開きます。確認するのは4点です。募集職種の名称/配属の決まり方(職種別採用か、総合職で入社後に配属か)/勤務地/応募条件。とくに配属の決まり方は、後の章で説明するとおり職種研究の進め方そのものを左右します。

募集要項の職種名は、会社独自の呼び方であることも珍しくありません。job tagで見た職業名と一致しない場合は、業務内容の説明文を読み、どの職業に近いかを自分で対応づけてください。

ステップ3:社員紹介は「相手・成果物・1日・1年目」の4点だけ拾う

社員紹介や「1日のスケジュール」記事は情報量が多く、読み方を決めないと感想だけが残ります。拾うのは4点に絞ってください。誰と働いているか/何を出しているか/何時に何をしているか/入社1年目に何をしていたかです。

コツは、感情の言葉を飛ばし、動詞と名詞を拾うことです。「やりがいがある」は記録せず、「取引先へ月2回訪問し、見積書を作成する」を記録します。3〜4人分読むと、同じ職種でも共通する部分と、その人だけの話が分かれてきます。

ステップ4:シートを埋め、空欄を質問に変える

集めた情報を共通シートに記入します。すべて埋まらなくて構いません。空欄こそが、説明会やOB訪問で聞くべき質問です。空欄の項目に印をつけ、質問リストに変換してください。

なお、job tagの職業詳細には就業者数・労働時間・賃金などの統計データも掲載されていますが、これらは職業分類の単位でまとめられた値で、その職業だけを厳密に示した数字ではないとサイト側が注記しています。参考値として扱い、本記事では数値の比較には使いません。

総合職の配属と職種別採用の違い|職種研究の使い方が変わる

総合職採用と職種別採用で配属や職種研究の進め方がどう違うかを比べた図

新卒採用には、職種を決めて応募する職種別採用と、職種を限定せずに採用し入社後に配属を決める総合職(一括)採用があります。どちらに応募するかで、職種研究の使い方が変わります。

入社後に配属が決まる形は、公的な職業情報にも記載があります。job tagの「広告営業」には、総合広告会社では営業と限定せずに採用し、入社後に適性や教育・訓練の結果から判断して配属するケースが多いこと、制作・マーケティング・媒体部門で経験を積んだ後に営業へ異動するケースも多いことが書かれています(厚生労働省 job tag「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。

項目

総合職(一括)採用

職種別採用

入社時に職種が決まるか

決まらないことが多い

応募時点で決まる

配属の決まり方

研修・面談・適性などを踏まえて会社が決定

応募した職種に配属

選考で聞かれること

興味の方向性、環境が変わったときの適応

その職種を選ぶ理由、関連する経験

職種研究の使い方

配属されうる職種を複数まとめて調べる

1職種を深く掘り、周辺職種との違いを言えるようにする

募集要項で確認する項目

配属の時期・決定方法、初期研修の内容

職種ごとの業務内容、応募条件

入社後の職種変更

異動により起こりうる

会社の制度によるが、限定的な場合がある

総合職採用の会社を受けるなら、第一志望の職種に加えて、配属されうる職種を2〜3個同じシートで調べてください。面接では「どの職種に配属されても、成果物と相手を説明できる」状態が強みになります。職種別採用なら、志望職種を深く調べたうえで、関係図を使って「なぜ隣の職種ではなくこれなのか」を説明できるようにします。

なお「総合職・一般職」は採用や雇用上の区分であり、職種そのものではありません。この区分の詳しい違いは、別の記事で扱います。

説明会・OB訪問で聞く質問と、ESへの落とし込み

説明会やOB訪問は、シートの空欄を埋める場です。4つの軸ごとに、聞く質問をあらかじめ決めておくと、限られた時間を無駄にしません。

  • ①成果物:「この職種の成果物で、上司にレビューされるものは何ですか」「1週間で最も時間をかけて作る資料は何ですか」
  • ②一緒に働く相手:「1週間のうち、社外の人と会う時間はどれくらいですか」「社内で最もやり取りが多い部署はどこですか」
  • ③1日の流れ:「繁忙期と通常期で、1日の使い方はどう変わりますか」
  • ④新卒の最初の担当:「新人が最初に任される案件・顧客の規模はどのくらいですか」「配属はいつ、何を基準に決まりますか」

逆に、募集要項を読めば分かる勤務地・選考フローや、年収・待遇の詳細をこの場で聞くのは避けたほうが無難です。調べた前提で聞く質問のほうが、相手も具体的に答えやすくなります。

ESへの落とし込みも型があります。「職種名が好き」ではなく、「この成果物を、この相手と作る仕事がしたい。その根拠は自分の◯◯という経験にある」という順で書いてください。たとえば「複数部署の意見をまとめて企画書という形にする仕事に関心がある。ゼミの共同研究で、意見の割れたメンバーの主張を1本の発表資料に整理した経験があるため」といった形です。

書き上げたら、1つだけ確認してください。その志望動機が、同じ職種を募集する他社にもそのまま通用しないかです。通用してしまうなら、まだ会社の事業・顧客・売り方がシートに反映されていません。もう一度、会社の事実に書き換えるところから見直します。

まとめ

職種名は分類のラベルにすぎません。中身を知るには、成果物・一緒に働く相手・1日の流れ・新卒の最初の担当という4軸で分解する必要があります。同じ「営業」でも、会社の事業・顧客・売り方の組み合わせで日常は変わります。

また、職種は案件の流れの中に位置しています。誰から何を受け取り、誰に何を渡すかを書き出せば、志望理由は具体的になります。総合職採用の会社を受ける場合は、配属されうる職種も同じシートで調べておくと安心です。

次の一手は決まっています。job tagで志望職種の中分類を1つ開き、タスクと「就業するには?」に目を通してください。そのうえで、共通シートのA社の列を今日のうちに埋めてみましょう。埋まらなかった行が、次に聞くべき質問になります。