業界研究のやり方は「5つの項目」を埋めること

業界研究のやり方は、1つの業界について5つの項目を1枚のシートに埋める作業だと考えると、手が動きます。「何から始めればいいか分からない」という状態は、調べる対象が決まっていないことが原因です。埋める項目を先に決めてしまえば、業界研究とは何かも、どこで終わりかもはっきりします。
筆者の経験では、就活のときの業界研究は市場規模などの数字を調べるだけで終わっていました。「この業界は伸びている」とノートに書いても、志望動機にも説明会の質問にもつながりません。あとから振り返ると、本当に必要だったのは、その業界の主要なプレイヤーがどんな役割・区分に分かれているかと、その業界が過去・現在・これからでどう変わってきたかの理解でした。数字は、この2つが分かってから読むと意味を持ちます。
そこで、この記事では業界研究を次の5項目+1行を埋める作業として進めます。
項目 | 埋めるための問い | 埋まると分かること |
|---|---|---|
①顧客 | 最終的に誰がお金を払うのか | 法人相手か消費者相手か(BtoB/BtoC) |
②商流 | モノ・お金・情報がどう流れるか | 業界全体の仕組みと、自分が向き合う相手 |
③収益源 | 何で稼いでいるのか | 売上の型と、会社ごとの事業の違いの見方 |
④職種 | その流れの中で誰が何をするか | 自分が就く仕事の位置と必要な知識 |
⑤企業の違い | 同じ業界の会社は何が違うか | 志望企業を比べる軸 |
+業界の変化 | 過去・現在・これからで何が変わるか | 動向やニュースを読むときの下地 |
「成長性」「業界動向」といった話題は、この5項目が埋まったあとに読むと意味が分かる補助情報です。全体像を把握しないまま動向だけを追うと、感想しか残りません。この記事は、企業研究・自己分析との違いを整理したうえで、4つのステップ、記入済みの見本、情報源の使い分け、説明会で聞く質問の順に進みます。
よくある質問
Q業界研究は何から始めればいいですか?
業界を1つだけ選び、「最終的に誰がお金を払うか(顧客)」と「何を売っているか」の2行を書くところから始めます。身近な商品や気になる会社が属する業界で構いません。5項目のうち最初の1つが埋まれば、業界研究はもう始まっています。
Q業界研究と企業研究の違いは何ですか?
業界研究は「誰に何を売り、どう稼ぐ業界か」を明らかにする作業です。企業研究は「その会社は同業他社と何が違うか」を確かめる作業です。業界研究で描いた商流シートが、そのまま企業研究で3社を比べる軸になります。順番は業界研究が先です。
Q業界研究はいつから始めるべきですか?
公的な統計はないため目安として述べると、最初の選考(インターンシップ応募を含む)の3カ月前には1業界目を埋め始めると余裕があります。自己分析と並行して進めて構いません。1業界の初版は1〜2日で作り、説明会で更新していく形が現実的です。
Q業界研究ノートには何を書けばいいですか?
顧客・商流・収益源・職種・企業の違いの5項目と、業界の変化(過去・現在・これから)を1行書きます。加えて、調べても分からなかった空欄を質問として残します。1業界1枚にすると、複数業界を同じ項目で並べて比較できます。
Q業界研究で何を見るべきですか?
ランキングや年収ではなく、商流と職種を見てください。モノ・お金・情報の流れが分かると、入社後に向き合う相手が見えます。一次情報は業界団体の学生向けページ、厚生労働省のjob tag、金融庁のEDINET、e-Statから入るのが確実です。
業界研究・企業研究・自己分析の違いと順番|比較表

結論から言うと、自己分析と業界研究は並行して進め、企業研究はそのあとに行うのが効率的です。3つは目的も情報源も違うため、混ざると「企業ランキングを眺めて終わり」になりやすくなります。まず違いを表で整理します。
比較項目 | 業界研究 | 企業研究 | 自己分析 |
|---|---|---|---|
対象 | 業界全体の仕組み | 1社の事業・配属・選考 | 自分の経験・価値観 |
中心の問い | 誰に何を売り、どう稼ぐ業界か | その会社は同業他社と何が違うか | 自分は何を大事にするか |
主な情報源 | 業界団体・政府統計・産業分類 | 有価証券報告書・採用ページ・説明会 | これまでの経験の棚卸し |
成果物 | 業界1枚シート | 企業比較表 | 就活の軸 |
使う場面 | 志望業界の絞り込み | 志望動機・逆質問 | 面接の自己PR |
業界・業種・職種の違い
言葉の整理をしておきます。業界は、同じ種類の商品・サービスを扱う会社の集まりを指す、就活でよく使われる呼び方です。業種は、公的な産業の区分に近い言葉で、総務省の総務省「日本標準産業分類」(2026年9月26日閲覧)では、農業・林業から始まる20の大分類が設けられています(最新は令和5年7月公表の第14回改定、令和6年4月1日施行)。就活で使う「業界」は、この大分類をさらに細かく分けた呼び方だと考えると整理しやすくなります。職種は、営業・経理・設計のように会社の中の仕事の種類を指します。なお、どんな業界があるのかという一覧そのものは別の記事で扱います。
順番は「自己分析と業界研究を並行→企業研究」
自己分析と業界研究の順番に悩む人は多いですが、どちらが先でなければならない決まりはありません。自分の興味が分からないうちは、身近な商品から業界を1つ選んで調べるほうが早く進みます。逆に、業界を調べるうちに「人と話す仕事が向いていそうだ」と気づくこともあります。両者は往復するものと考えてよいでしょう。ただし企業研究だけは後回しにしてください。商流や収益源を知らないまま1社の情報を読んでも、その会社の特徴が同業と比べて何なのかを判断できないためです。
ステップ1 業界を1つ選び「顧客」と「売り物」を書く
最初にやることは、業界を1つだけ選び、顧客と売り物の2項目を書くことです。複数の業界を同時に調べようとすると、どれも浅くなります。
業界の選び方は3通りあります。1つ目は、身近な商品から遡る方法です。今使っているスマホ、通学の電車、コンビニの飲料のいずれかを選び、それを作っている・売っている会社の業界から始めます。2つ目は、学んできた分野に近い業界を選ぶ方法です。3つ目は、名前を知っている気になる会社が属する業界を選ぶ方法です。どれでも構いません。1業界目は「深く調べる練習台」だと考えてください。
選んだら、シートの1行目に「最終的に誰がお金を払うか(顧客)」、2行目に「何を売っているか(売り物)」を書きます。ここで判定できるのがBtoB(法人が顧客)かBtoC(消費者が顧客)かです。この判定は想像以上に効きます。顧客が消費者なのか法人なのかで、営業が会う相手、テレビCMなどの広告を打つかどうか、そして知名度と事業規模の関係が変わるからです。
特に注意したいのが「知っている会社=大きい会社」という思い込みです。消費者に直接売っていない会社は、広告を出す必要が薄いため名前を知られていません。あとで見本として取り上げる電子部品業界は、その典型です。
業界の大きさを数字で確かめたくなったら、政府統計から辿ります。総務省統計局「令和3年経済センサス‐活動調査」(2026年9月26日閲覧)は、全産業の事業所・企業の経済活動を同一時点で把握し、産業別の事業所数・従業者数・売上高などの基本統計を得るための調査です。統計そのものを探すときは、分野別・組織別・キーワード・50音の4通りで検索できるe-Stat 政府統計の総合窓口(2026年9月26日閲覧)が入口になります。ただしステップ1の段階では、数字は後回しで構いません。
ステップ2 商流を描く|モノ・お金・情報の3本の矢印

業界研究のやり方で最も差がつくのが、この商流を自分の手で描く作業です。商流とは、モノ・お金・情報が業界の中をどう流れるかのことです。ナビサイトの業界ページを読んでも頭に残らないのは、この流れが自分の中で線としてつながっていないためです。
製造業を例にすると、プレイヤーは左から右へ次のように並びます。素材・原料メーカー → 部品・中間財メーカー → 完成品メーカー → 卸・商社・販売店 → 顧客(消費者または法人)。この並びに、矢印を3本重ねます。モノは左から右へ流れます。お金は、買った側から売った側へ渡るので右から左へ流れます。そして情報(注文、仕様、要望、クレーム)は双方向に流れます。この3本目の矢印が、仕事の中身を決めます。
左側の箱を川上、真ん中を川中、右側を川下と呼ぶことがあります。「川上の会社」と言われたら、素材や部品に近い側だと理解してください。
商流を描く4つの手順
- 最終顧客を右端に置きます。消費者なのか、特定の産業の企業なのかをはっきり書きます。
- その顧客に直接売っている会社を、すぐ左に置きます。
- その会社が何を仕入れているかを考え、左へ遡ります。分からなければ「原料」「部品」と仮に書いて構いません。
- 商社・卸・広告会社・物流会社など、箱と箱の間に入る会社を後から差し込みます。
4番目が抜けると、業界の姿が単純になりすぎます。間に入る会社は、モノを直接作らない代わりに、情報とお金の流れを担っていることが多いためです。
商流を描くと「誰が顧客か」が変わって見える
商流を描く最大の効果は、志望する会社が誰を顧客にしているかがはっきりすることです。顧客はそのまま、入社後に自分が向き合う相手になります。
分かりやすい例が電子部品です。JEITA電子部品部会「学生のみなさんへ 電子部品業界のご紹介」(2026年9月26日閲覧)では、電子部品業界の商流が「素材メーカー→電子部品メーカー→完成品メーカー」の流れで図解されています。同じ「メーカー志望」でも、部品メーカーの顧客は完成品メーカーであり、消費者ではありません。つまり日々のやりとりの相手は、消費者ではなく取引先企業の設計担当や購買担当になります。この違いを知らずに「消費者の生活を支えたい」とだけ話すと、志望動機が事業の実態とずれてしまいます。
このように、業界団体が学生向けに商流図を公開している業界があります。自分で描く前にそうしたページを探すと、抜けている箱に気づけます。さらにOB・OG訪問などで上流・下流の会社の話を聞くと、平面の図が立体的になります。
ステップ3 収益源と職種を商流の上に重ねる

商流の図が描けたら、その上に「どこでお金が生まれるか(収益源)」と「誰が何をするか(職種)」を重ねます。この2つを重ねた時点で、業界研究は仕事の理解に変わります。
収益源は「売上の型」で1〜2個書く
収益源は難しく考えず、売上の型として書きます。代表的な型は次のとおりです。
- 販売: 商品やサービスを売り、代金を受け取る
- 手数料: 売り手と買い手の間に入り、仲介の手数料を受け取る
- 継続課金: 使い続けてもらい、毎月・毎年の利用料を受け取る
- 広告: 人が集まる場所の広告枠を売る
- 賃料・リース: 資産を貸して使用料を受け取る
同じ業界でも会社によって型は混ざります。すべてを書き出す必要はなく、主な型を1〜2個書けば十分です。型が分かると、その業界で何が重視されるかも見えてきます。販売なら1件あたりの単価と数量、継続課金なら解約されない仕組み、というように、伸ばすべき指標が変わるためです。
職種は商流の箱に置く。仕事内容は job tag で確かめる
次に、職種を商流の箱の上に置きます。目安は次のとおりです。顧客と接する箱には営業・販売・カスタマーサポート。モノを作る箱には研究開発・設計・生産技術・品質保証。箱と箱の間には購買・物流・企画・マーケティング。そして全体を支える位置に経理・人事・法務が入ります。
職種名だけでは仕事内容が想像できないこともあります。そのときに使えるのが、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET、job tag)」(2026年9月26日閲覧)です。ジョブ(職業)、タスク(仕事の内容を細かく分解した作業)、スキル(必要な技術・技能)の観点で職業情報が整理されており、約500の職業について一般的な仕事内容や作業、就業する経路、必要なスキルなどを確認できます。就業経験がない人でも、いろいろな切り口から職業を探せる作りになっています。なお掲載されている求人賃金は地域や条件で幅があるため、就活の会社比較に使う数字ではありません。個別の職種の1日の流れは、職種研究の記事で扱います。
文系か理系かで、入りやすい箱は変わります。ただし「理系の業界だから文系は関係ない」とは限りません。前掲のJEITAの学生向けページでも、電子部品業界の文系職種として企画・経理・法務・知財・マーケティング・営業などが紹介されています。技術寄りの業界でも、商流の右側や全体を支える箱には文系の仕事が並んでいます。
ステップ4 同じ業界の3社を比べて「企業の違い」を書く

5項目の最後は、同じ業界の3社を同じ軸で比べることです。ここで使う軸は、これまでに描いた商流シートから作ります。外から借りてきた軸ではなく、自分の図から作るのがポイントです。
比べる軸は次の4つを基本にします。
比較軸 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
①商流のどの箱にいるか(部品/完成品、メーカー/商社) | |||
②主な顧客・用途(消費者向け/法人向け、どの産業向けが多いか) | |||
③収益源の型と、複数事業の組み合わせ | |||
④売っている地域(国内中心か、海外比率が高いか) |
調べ方は、上場企業かどうかで分かれます。上場企業なら、有価証券報告書を読むのが最短です。金融庁「EDINET(有価証券報告書等の電子開示システム)」(2026年9月26日閲覧)では、金融商品取引法に基づく開示書類を24時間365日いつでも閲覧できます。制度の概要は金融庁「EDINETについて」(2026年9月26日閲覧)で確認できます。有価証券報告書のうち、まず読むのは「事業の内容」と「セグメント情報」の2カ所です。前者には商流と事業の説明が、後者には事業ごと・地域ごとの売上が載っています。この2カ所を読めば、上の4軸はおおむね埋まります。ただしセグメント区分が粗い企業では埋まらない項目もあるため、その場合は採用ページの事業紹介も併せて読みます。
非上場企業の場合は有価証券報告書が公開されていないため、採用ページや会社案内の事業紹介で代替します。取引先の業種や主力製品の用途が書かれていれば、①②は埋められます。
最後に注意点です。ランキングの順位、年収の相場、口コミサイトの評判は、このシートには書かないでください。それらは企業の違いではなく、順位付けや個人の感想です。同業3社の違いを説明できるようになると、志望動機で「なぜこの会社なのか」に答えられるようになります。
記入済み見本|電子部品業界を1枚のシートにした例
ここまでの5項目を、電子部品業界で実際に埋めた例を示します。業界研究ノートの1枚目のイメージとして使ってください。記載の根拠は、前掲のJEITA電子部品部会「学生のみなさんへ 電子部品業界のご紹介」(2026年9月26日閲覧)です。
項目 | 記入例(電子部品業界) |
|---|---|
①顧客 | スマートフォンや自動車などを作る完成品メーカー。消費者ではない(BtoB) |
②商流 | 素材メーカー→電子部品メーカー→完成品メーカー→消費者。モノは右へ、お金は左へ。完成品メーカーの設計段階から仕様のやりとり(情報)が発生する |
③収益源 | 部品の販売。完成品メーカーの新製品に採用されると、量産に合わせて継続的に納めることになる(一般的な説明) |
④職種 | 営業(相手は完成品メーカーの設計・購買担当)、研究開発・設計・生産技術・品質保証、購買・物流。文系職種として企画・経理・法務・知財・マーケティング・営業が紹介されている |
⑤企業の違い | 得意な部品の種類、主な用途(自動車向けか通信機器向けか)、海外比率。JEITAは世界シェアNo.1の製品・企業が多い業界として紹介している |
+業界の変化 | 電子部品は電子回路・機器を構成する部品で、スマートフォンから自動車まで身近な製品に搭載されている。かつての家電中心から、自動車や通信機器へと搭載先の用途が広がってきた流れとして整理できる |
この1枚を書くと、調べる前には出てこなかった疑問が残ります。たとえば次のようなものです。
- 完成品メーカーの設計段階で自社の部品を選んでもらうために、営業は何をしているのか
- 自動車向けと通信機器向けでは、求められる品質や開発期間はどう違うのか
- 海外の顧客が多い場合、新人はいつごろから海外の担当者とやりとりするのか
この3つは、そのまま説明会やOB・OG訪問の質問になります。「御社の強みは何ですか」と聞くのと比べて、答える側も具体的に話しやすくなります。
なお、JEITAの学生向けページのように、業界団体が商流や職種を学生向けにまとめている業界があります。加盟企業の採用サイトへのリンク集が用意されていることもあり、そこから埋め始めると1枚目が速く仕上がります。団体のページが見つからない業界では、川下の完成品メーカーの採用ページや、上場企業の有価証券報告書の「事業の内容」から商流を逆算していきます。
情報源の使い分け|一次情報から順に見る

情報源には順番があります。就活サイトは全体像をつかむ入口として使い、シートに書き込む内容は一次情報で確かめる、という順です。それぞれ何が分かるかを整理します。
情報源 | 分かること | 使うステップ | 注意点 |
|---|---|---|---|
業界団体の学生向けページ | 商流・主な職種 | ステップ2・3 | 学生向けページの有無は業界によって差がある |
政府統計(e-Stat・経済センサス) | 産業別の事業所数・従業者数・売上高など業界の規模 | ステップ1 | 数値を引用するときは調査名と年を必ず控える |
職業情報(厚労省 job tag) | 職種の仕事内容・タスク・必要なスキル・就業経路 | ステップ3 | 賃金は地域や年齢で幅があり、会社比較には使わない |
有価証券報告書(金融庁 EDINET) | 1社の事業の内容と売上の構成 | ステップ4 | 非上場企業は掲載されていない |
会社説明会・OB・OG訪問 | 現場の実感、空欄の疑問への答え | ステップ2〜4 | 1人の話をそのまま業界全体の標準にしない |
就活サイト・ニュース | 全体像の入口、最新の話題 | ステップ1・随時 | 出典が書かれていない情報は一次情報で確かめる |
統計を探すときはe-Stat 政府統計の総合窓口(2026年9月26日閲覧)の組織別検索から、所管の府省を辿ると目的の調査に届きます。職業情報は厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」(2026年9月26日閲覧)、企業の開示情報は金融庁「EDINET」(2026年9月26日閲覧)が入口です。
業界のニュースやトレンド記事は、5項目が埋まってから読むことをおすすめします。商流の図が頭にあれば、その記事が「どの箱で起きている話か」を判断できるためです。川上の原料価格の話なのか、川下の販売現場の話なのかが分かると、同じ記事から得られる情報量が変わります。情報収集を効率化する方法は、量を増やすことではなく、読む順番を整えることです。
説明会で聞く3つの質問と、シートの残し方
シートを埋めると、調べても分からなかった空欄がいくつか残るはずです。その空欄こそが、説明会やOB・OG訪問で聞くべき質問です。質問を考えるために悩む必要はありません。
質問は3つの型に整理できます。1つ目は商流の質問です。「御社の主な顧客は、商流のどの位置にいる会社ですか」「新人が最初に向き合うのはどの顧客ですか」と聞きます。2つ目は収益源の質問です。「売上の型のうち、今力を入れて伸ばしているのはどれですか」と聞けば、事業の方向が見えます。3つ目は職種の質問です。「その職種は商流のどこで、社内外の誰と一緒に仕事をしますか」と聞くと、配属後の1日が想像しやすくなります。
ノートの残し方はシンプルにします。1業界1枚とし、5項目+業界の変化、その下に空欄として残った質問、さらに説明会で得られた答えを追記する順に並べます。複数の業界を比べるときは、必ず同じ5項目で並べてください。項目が揃っていれば、業界同士の違いがそのまま浮かび上がります。
いつから始めるか、どれくらい時間がかかるかについては、筆者が確認した範囲では公的な統計が見当たりません。筆者の経験則として目安を書くと、最初の選考(インターンシップの応募を含む)の3カ月前には1業界目を埋め始めると、志望動機を書く段階で慌てずに済みます。1業界のシートは、一次情報を読んで1〜2日で初版を作り、その後の説明会への参加やOB・OG訪問で更新していく進め方が現実的です。最初から完璧な1枚を目指す必要はありません。
まとめ
業界研究は、眺めて覚える勉強ではなく、5項目を書いて埋める作業です。顧客と売り物を決め、モノ・お金・情報の3本の矢印で商流を描き、その上に収益源と職種を重ねます。最後に同業3社を同じ軸で比べれば、1枚のシートが完成します。
情報源は、業界団体の学生向けページ、政府統計、職業情報サイト、有価証券報告書といった一次情報から入り、就活サイトやニュースは入口と更新に使います。そして埋まらなかった空欄は、説明会で聞く質問としてそのまま持っていきます。
今日できるのは1つだけです。業界を1つ選び、顧客と売り物の2行を書いてみてください。その1枚ができたら、同じ業界の3社を比べる企業研究へ、そして気になった職種の中身を調べる職種研究へと進みます。