アカウントプランナーとは?広告主の窓口として提案から改善までを担う職種

アカウントプランナーとは、広告会社で特定の広告主(アカウント)を担当し、課題の整理から提案、受注後の進行管理、配信後の報告と改善提案までを一貫して担う職種です。広告主にとっての窓口であり、同時に社内の専門職を動かす役割も持ちます。

厚生労働省の職業情報提供サイトでは、この仕事は「広告営業」という職業名で整理されています。広告会社で広告企画を立てて広告主に働きかけ、受注から計画、実施、代金の回収までの進行管理にあたる仕事と説明され、職業別名として広告会社営業部員・広告代理店営業員・広告枠仕入営業員などが挙げられています(厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。つまり、広告代理店の営業の仕事内容として説明されている内容と、アカウントプランナーの仕事は大きく重なります。

就活生が最初に迷うのが、「これは営業なのか、プランナーなのか」という点です。結論から言えば、多くの会社で両者は同じ「広告主の窓口」の仕事を指します。ただし、社内の調査・戦略・クリエイティブ・運用といった専門職を束ねて提案を組み立てる側面を強調して、「プランナー」という名称を使う会社があります。筆者も就活の当時、この二つの名前の違いが分からなかった一人です。

ここで押さえておきたいのは、「売り込む営業」というイメージだけでは実態をつかみにくいという点です。アカウントプランナーの中心的な役割は、広告主の課題を社内に持ち込み、専門職の成果を一つの提案としてまとめ、実行まで責任を持って運ぶことにあります。商品を売る前段階として、何を課題と定義するかを広告主と一緒に決める場面が少なくありません。

なお、この職種の呼称は会社によってかなり違います。電通や博報堂では「ビジネスプロデュース」という名称が使われ、デジタル専業の会社では「アカウントプランナー」が使われるなど、名称の幅は広いものです。呼称と担当範囲の関係は、記事後半で公式の採用情報をもとに整理します。

よくある質問

Qアカウントプランナーと営業は何が違いますか?
A

多くの会社では、どちらも「広告主の窓口」という同じ仕事を指します。社内の専門職を束ねて提案を組み立てる側面を強調して、プランナーという名称を使う会社があります。名称の違いで仕事の範囲は決まらないため、募集要項の「仕事内容」欄で提案・進行・運用のどこまでを担当するかを確認してください。

Qアカウントプランナーと広告運用コンサルタントの違いは?
A

窓口として提案・進行管理・報告を担うのがアカウントプランナー、入稿や配信設定、数値の改善を担うのが運用担当です。オプトの公式インタビューでは、運用コンサルタントやトレーディングディレクターという職種名が紹介されており、会社によっては1人が両方を兼務する場合もあります。

Qストラテジックプランナーとの違いは?
A

ストラテジックプランナーは調査と戦略づくりを専門に担い、誰に何を伝えるべきかを設計します。アカウントプランナーはその成果を提案に組み込み、広告主に届ける役割です。博報堂ではストラテジックプラニング職、サイバーエージェントでは広告/ストラテジックプランナーとして、別職種で募集されています。

Q未経験や資格なしでもなれますか?
A

厚生労働省のjob tagでは、この仕事に就くために学歴・資格は特に必要ないとされています。総合広告会社では営業と限定せずに採用し、入社後に適性や教育・訓練の結果から配属するケースが多いとも記載されています。新卒では、未経験から始めることが前提の職種だと考えて差し支えありません。

Qどんな人が向いていますか?
A

性格よりも、仕事の場面で考えると分かりやすくなります。社内への依頼の締切を自分で先に決められること、配信結果の数値を見て要因を言葉で説明できること、広告主の担当者が社内の決裁者に説明しやすい資料を作れること。この3点に手応えを感じられるかが、判断の目安になります。

案件はどう動く?広告主・アカウントプランナー・社内外チームの関係図

広告主とアカウントプランナー、社内外の各職種の間を依頼・提案・情報が行き来する関係図

案件は、広告主からアカウントプランナーへ依頼が入り、そこから社内外の各職種へ枝分かれし、最後にアカウントプランナーが結果を束ねて広告主へ戻す、という循環で動きます。まず登場人物を押さえると、仕事の輪郭がつかみやすくなります。

登場するプレイヤーと役割

一つの案件には、おおむね次のプレイヤーが関わります。

  • 広告主の担当者:宣伝部・マーケティング部・事業部などで、日々やり取りをする相手です。
  • 広告主の決裁者:部長や役員など、予算を承認する立場の人です。提案の最終的な可否を判断します。
  • アカウントプランナー:広告会社側の窓口です。課題を受け取り、社内に依頼し、提案として返します。
  • 社内のプランナー:戦略を設計するストラテジックプランナーや、媒体の組み合わせを設計するメディアプランナーなどです。
  • 社内のクリエイティブ:クリエイティブディレクター、アートディレクター、コピーライターなどが表現を設計します。
  • 運用担当:Web広告の配信設定や改善を担います。運用コンサルタント、トレーディングディレクター、SEMコンサルタントなど、会社によって名称が異なります。
  • 制作会社:バナー、LP、動画などの実制作を担当する外部パートナーです。
  • 媒体社・プラットフォーム:テレビ局や出版社、Web広告の配信プラットフォームなど、広告が掲載される側です。

職種名の実例としては、サイバーエージェントの新卒採用サイトのインターネット広告事業の紹介で、アカウントプランナーのほかに広告/ストラテジックプランナー、SEMコンサルタント、DXコンサルタント、データコンサルタントといった職種が並んでいます(サイバーエージェント 新卒採用「インターネット広告事業」、2026年9月26日閲覧)。一つの広告会社の中に、これだけ役割が分かれていることが分かります。

依頼・提案・情報はどう流れるか

流れは三つに分けて考えると整理できます。

一つ目は「依頼の流れ」です。広告主の担当者からアカウントプランナーへ相談が入り、アカウントプランナーが社内のプランナー・クリエイティブ・運用担当、さらに制作会社や媒体社へと依頼を展開します。job tagでも、総合広告会社の営業は広告主の窓口として計画から実施まで全ての作業に責任を持ち、社内の調査・分析部門や制作部門を動員して提案しプレゼンすると説明されています(厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。

二つ目は「提案の流れ」です。社内から集まった調査結果、媒体プラン、クリエイティブ案、見積を、アカウントプランナーが一つの提案としてまとめ、広告主の担当者に説明します。ここで重要なのは、担当者がそのまま決めるとは限らないという点です。予算を承認するのは決裁者なので、担当者が社内で説明しやすい形に資料を整える必要があります。目的、費用、期待できる効果、リスクが一目で分かる構成になっているか。この視点があるかどうかで、提案の通りやすさは変わってきます。

三つ目は「情報の流れ」です。制作物の進捗は制作担当から、配信結果の数値は運用担当から、それぞれアカウントプランナーに集まります。アカウントプランナーはそれを整理し、広告主へ報告します。窓口が一本化されているため、広告主は個別の担当者を追いかけずに済む、という設計です。

なお、新しい広告主との接点は、広告主から直接相談を受けるルートだけではありません。取引関係のある会社と組んで提案に入るケースもあります。例えば、鉄道会社系のハウスエージェンシーと共同で広告主に提案する、といった形です。関係図は一社対一社とは限らない、という点も覚えておくと、業界の見え方が変わります。

アカウントプランナーの典型業務|課題整理・提案・進行管理・報告の4段階

課題整理・提案・進行管理・報告と改善の4段階が循環する案件の流れを示した縦型タイムライン

アカウントプランナーの仕事内容は、案件の時系列で「課題整理」「提案」「進行管理」「報告と改善」の4段階に分けると理解しやすくなります。Web広告の営業では、この4段階が一度で終わらず、配信しながら繰り返される点が特徴です。

ヒアリングと課題整理

最初の仕事は、広告主の状況を集めることです。商品やサービスの理解、現在の販促計画、過去の広告の結果などを確認します。job tagが示す広告営業のタスク実施率でも、「商品・サービスの理解」が95.9%、「見込み客の現行の広告と販促計画の情報収集」が87.8%と、いずれも高い水準です(厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。

この段階で求められるのは、抽象的な要望を分解する作業です。「売上を上げたい」という言葉を、「誰に」「何を」「購買のどの段階で」伝えるのかに置き換えていきます。認知が足りないのか、比較検討で負けているのか、購入直前で離脱しているのか。課題の場所が変われば、提案する媒体もクリエイティブも変わります。

提案書・見積を作る

課題が定まったら、提案書と見積を作成します。提案書の骨格は、課題→目標→ターゲット→施策(媒体とクリエイティブ)→スケジュール→予算→効果指標、という流れが一般的です。job tagでも「企画を立て企画書やサンプルを作成」するタスクの実施率は95.9%とされています(厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。

提案書の中身をすべて一人で作るわけではありません。市場や競合の調査はストラテジックプランナー、媒体の組み合わせと配信見込みは運用担当やメディアプランナー、表現案はクリエイティブ、というように材料を依頼します。アカウントプランナーの役割は、それらを一貫した筋書きとして1冊にまとめ、広告主に説明することです。

新規獲得の場面では、複数の広告会社が同じ課題に対して提案するコンペが行われます。筆者が当時在籍していたデジタル専業の広告会社では、2015〜2017年ごろ、既存顧客の対応をしながら新規のコンペが月1回ほどあるという頻度でした。就活生のころは「コンペ」という言葉が格好よく聞こえていましたが、実際の中身は資料作成と顧客訪問が大半を占めます。これは当時の一例で、会社や部署によって頻度も進め方も異なります。

受注後の進行管理と社内外への依頼

提案が採用されると、実行フェーズに入ります。制作物の確認依頼、入稿スケジュールの管理、媒体社との調整、広告主からの承認取りなど、細かいやり取りが同時並行で動きます。job tagでも、採用が決まると広告主や社内関係者と打ち合わせ・折衝・確認を繰り返すと説明されています(厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。

この段階で効いてくるのが、依頼の出し方です。社内の各職種にもそれぞれ複数の案件があります。いつまでに、何を、どの粒度で必要なのかを先に伝えられるかどうかで、進行の安定度は変わります。

配信後の報告と改善提案

広告の掲載・配信が始まったら、結果を検証して広告主に報告します。job tagでも、掲載・放送後に効果を検証して広告主に報告する、と業務が説明されています(厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。報告会では数値を並べるだけでなく、想定との差がどこで生まれたのか、次に何を変えるのかまで示すことが求められます。

Web広告の場合、この報告と改善が月次だけで完結しません。配信中の数値を見ながら、クリエイティブの差し替えや配信先の調整を行い、その結果をまた報告する。提案・進行・報告が短い周期で循環する点が、マス媒体中心の案件との違いとして表れます。

成果物と連携相手|運用担当・プランナー・クリエイティブと何が違うか

アカウントプランナーと運用担当の成果物・相手・判断する対象を左右で比べた比較図

職種の違いは、「何を成果物として出すか」「誰と話すか」「何を判断するか」で比べると分かりやすくなります。広告会社の中は役割ごとに細かく分かれており、アカウントプランナーは顧客との折衝が主な仕事になります。

職種

主な成果物

主な相手

判断すること

アカウントプランナー

提案書・見積・報告書・進行表

広告主の担当者と決裁者、社内各職種

何を提案し、どこまで引き受けるか

運用担当(運用コンサルタント等)

入稿データ・配信設定・日次/週次の数値レポート

アカウントプランナー、媒体の管理画面、プラットフォーム担当

どの配信設定を変えるか

ストラテジックプランナー

調査結果・戦略資料・ターゲット定義

アカウントプランナー、広告主のマーケティング担当

誰に何を伝えるべきか

クリエイティブ

コピー・バナー・動画・LPの企画と制作物

アカウントプランナー、制作会社

どう表現するか

表にすると、アカウントプランナーの成果物の性質が見えてきます。自分の手で一から作る物より、社内の成果物を束ねて広告主に届ける物が多いという点です。調査も表現も配信設定も、それぞれの専門職が作ります。アカウントプランナーは、それらを課題に対する一つの答えとして構成し、責任を持って説明する立場にあります。

よく比較される「広告運用コンサルタントとの違い」は、判断の対象で整理できます。運用担当が判断するのは配信設定や予算配分といった実行面です。アカウントプランナーが判断するのは、そもそも何を提案し、どこまでを引き受けるかという範囲の設計です。「ストラテジックプランナーとの違い」も同様で、戦略づくりを専門に担うのがストラテジックプランナー、その成果を提案に組み込んで広告主に届けるのがアカウントプランナー、という分担になります。

ただし、この分担は会社によって固定ではありません。オプトの社員インタビューでは、2019年新卒入社の社員がアカウントプランナーとして配属された後、「受注後の入稿や運用を行うトレーディングディレクター」を兼務したことが紹介されています(オプト 社員インタビュー(2019年新卒入社)、2026年9月26日閲覧)。また別のインタビューでは、最初の5年間は運用コンサルタントを担当し、その後アカウントプランナーとして顧客支援にあたる、というキャリアが紹介されています(オプト 社員インタビュー(2017年新卒入社)、2026年9月26日閲覧)。窓口と運用が別職種として存在し、兼務や職種間の移動もある、という点は押さえておくとよいでしょう。

アカウントプランナーの1日の例|公開事例と一般的な流れから

1日の過ごし方は、案件のフェーズによって変わります。提案前、制作中、配信中、報告前のどこにいるかで、スケジュールの中身はまったく違うものになります。

公開されている事例として、サイバーエージェントの新卒4年目アカウントプランナーの1日があります。同社の採用サイトによると、出社後にまず顧客からの前日の依頼をもとに作られたスケジュールを確認し、営業チームとクリエイティブディレクション部門で、季節に応じて変えるバナー制作物の構成やデザインを議論します。その後、出版社(美容誌・ファッション誌)と次の半期のプランニングを議論し、月1回のメンバーとの1on1、週1回の局会での数字報告と業界情報の共有、負けたコンペの敗因分析、勉強会の発表準備といった予定が並びます(サイバーエージェント 新卒採用「【1日密着】新卒4年目・アカウントプランナーの1日」、2026年9月26日閲覧)。

同ページでは、この職種の性格について次のように説明されています。

お客様の聞き役としてイメージされがちな従来の営業職とは異なり、マーケティング領域の上から下まで全てに関わる

出典: サイバーエージェント 新卒採用「【1日密着】新卒4年目・アカウントプランナーの1日」(2026年9月26日閲覧)

Web広告で配信中の案件を抱えている日の一般的な流れとしては、午前に前日の数値を確認して運用担当と打ち合わせ、午後に広告主との定例や提案書の作成、夕方に制作物の確認と社内への依頼、という組み立てが考えられます。共通しているのは、自分だけで完結する時間が少なく、社内外との打ち合わせと確認が1日の大半を占めるという点です。

忙しくなるのはどんな場面か|依頼が集中する理由を整理する

提案締切前や配信開始直前など、業務の負荷が集中する4つの場面と理由を整理した図

この職種について「きついのか」という疑問はよく見かけますが、レッテルで考えるより、負荷が生じる場面と理由で理解したほうが役に立ちます。大きく四つの場面があります。

  • コンペや提案の締切前:社内の各職種から材料が集まる時期が重なり、アカウントプランナーがまとめ役になるため作業が集中します。
  • 配信・掲載の開始直前:入稿、制作物の最終承認、媒体側の審査が同時並行で走ります。どれか一つ遅れると全体が動きます。
  • 広告主側の予定が集中する時期:決算期、セール、新商品の発売など、広告主のスケジュールに合わせて動く仕事です。
  • 配信中に数値が想定を下回ったとき:原因の切り分けと改善提案を短い期間で求められます。

job tagでも、この職業の労働条件の特徴として、テレビの放送時間やイベントなどに合わせて残業や休日出勤することもある、と記載されています(厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。広告主や媒体の予定に合わせて動く仕事である以上、忙しさの波は自分の都合だけでは決まりません。

仕事の進め方で調整できる部分もあります。一般的な工夫としては、社内への依頼の締切を広告主への提出日より前に設定しておくこと、誰が何を出すのかを最初の打ち合わせで文字にして共有しておくことが挙げられます。筆者が2015〜2017年ごろに在籍していたデジタル専業の広告会社では、既存顧客の対応と並行して新規のコンペが月1回ほど入っていました。こうした状況では段取りの有無が差になりやすい、と考えられます。これは当時の一例であり、会社や部署によって事情は異なります。

説明会では「繁忙期はいつで、何が理由か」を聞いてみてください。扱う媒体や広告主の業種によって答えが変わるため、会社ごとの実態を知る手がかりになります。

「営業」「ビジネスプロデューサー」「アカウントプランナー」の違い|会社ごとの呼称と範囲

総合広告会社とデジタル専業で異なる職種の呼称と仕事の重心を左右で比べた比較図

同じ「広告主の窓口」の仕事でも、呼称は会社ごとに異なります。名称の違いだけで仕事の範囲は判断できない、というのがこの節の結論です。

公式採用情報で見る呼称の違い

会社

公式の職種名

公式の説明(要約)

電通

ビジネスプロデュース

プロジェクトの司令塔として、ビジネスを開拓・推進する。チーム全員を束ねる役割

博報堂

ビジネスプロデュース職

クライアントの課題や社会課題を発見し、社内外のスペシャリストのチームを編成して課題解決をリード。企画・プロセス・予算管理を統括

サイバーエージェント

アカウントプランナー

戦略からクリエイティブまでを統括する職種

オプト

アカウントプランナー

顧客支援を担当。別に運用コンサルタント、トレーディングディレクターの職種名がある

出典は各社の公式採用情報です(電通 新卒採用 職種紹介「ビジネスプロデュース」、博報堂 新卒採用「仕事・職種」、サイバーエージェント 新卒採用「インターネット広告事業」、オプト 社員インタビュー。いずれも2026年9月26日閲覧)。一方、job tagでは職業名を「広告営業」とし、別名に広告代理店営業員などを挙げています。

整理すると、本記事で確認した範囲では、「アカウントプランナー」はデジタル専業の広告会社で使われる呼称の一つで、総合広告会社では「ビジネスプロデュース」といった名称が使われる例が見られます。ただし名称で実務の範囲が決まるわけではありません。筆者も入社後、同じポジション名でも会社によって担当する範囲が違うことに驚いた経験があります。だからこそ、募集要項の「仕事内容」欄で、提案・進行・運用・制作のどこまでを担当するのかを会社ごとに確認する必要があります。なお「アカウントエグゼクティブ」など、さらに別の呼称を使う会社もあります。

総合広告会社とデジタル専業で役割はどう違うか

job tagでは、広告会社は総合広告会社と、インターネット広告など媒体のみを扱う専門広告会社に分かれると説明されています(厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。この区分は、窓口職の仕事の重心にも表れます。総合広告会社ではテレビ・新聞・イベントなど扱う媒体が広く、社内の調査部門・制作部門・媒体部門を束ねる範囲が広くなります。デジタル専業ではWeb広告が中心となり、配信中の数値をもとに運用担当と改善を回す比重が大きくなります。どちらが上ということではなく、日々向き合う対象が違う、という理解が正確です。

新卒はどこから始めるか|初期業務と入り方

新卒が最初に任されやすい業務と説明会で確認したい質問をまとめたチェックリスト図

新卒の入り方は、職種別採用の会社と、入社後に配属を決める会社で分かれます。job tagによれば、この仕事に就くために学歴・資格は特に必要とされておらず、総合広告会社では営業と限定せずに採用し、入社後に適性や教育・訓練の結果から配属するケースが多いとされています。また、制作・マーケティング・媒体部門で経験を積んでから営業部門へ異動するケースも多いと説明されています(厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「広告営業」、2026年9月26日閲覧)。未経験や資格なしの状態から始める職種だという点は、就活の段階で押さえておいて問題ありません。

公式に公開されているキャリアの例も参考になります。サイバーエージェントでは、2019年入社の社員がインターネット広告事業本部でチーフアカウントプランナーを務め、飲料・食品・嗜好品メーカーなどを担当し、マーケティング戦略立案から広告ディレクションまで実行していると紹介されています(サイバーエージェント 新卒採用 社員紹介、2026年9月26日閲覧)。オプトでは、2019年新卒入社の社員がブランド認知を目的に広告運用を行う部署にアカウントプランナーとして配属され、のちにトレーディングディレクターを兼務した例が(オプト 社員インタビュー(2019年新卒入社)、2026年9月26日閲覧)、2017年新卒入社の社員が運用コンサルタントを5年経験した後にアカウントプランナーへ移った例が公開されています(オプト 社員インタビュー(2017年新卒入社)、2026年9月26日閲覧)。窓口から始める会社と、運用から始める会社の両方がある、と読み取れます。どちらも案件の流れを覚える入口になります。

新卒が最初に任されやすい業務としては、一般的に次のようなものが挙げられます。先輩が担当する広告主の定例の議事録作成、数値レポートの作成、制作物の確認と入稿スケジュールの管理、提案書の一部(競合調査や媒体の基本情報)の作成、比較的小規模な既存顧客の担当などです。いずれも、案件の全体像を覚えながら手を動かす性質の仕事です。

筆者の場合、2015〜2017年ごろに当時在籍していたデジタル専業の広告会社でWeb広告の営業・コンサルタントを担当していましたが、最初にやったのは先輩の商談や訪問への同席でした。広告主がどんな言葉で課題を語るのかを間近で見る時間は、案件の流れを覚える入口になります。これは当時の一例で、現在の各社の育成方法を示すものではありません。

説明会や面談では、次の3点を聞くと会社ごとの違いが見えます。新卒は最初に窓口と運用のどちらを担当することが多いか。提案書は主にどの職種が作るか。1人が同時に担当する広告主はどれくらいの数か。この3つの答えが分かれば、入社後の1年目の姿がかなり具体的に想像できるはずです。

まとめ

アカウントプランナーは、広告主の窓口として課題整理から提案、進行管理、配信後の報告までを受け持つ職種です。成果物は自分だけで作る物より、調査・戦略・クリエイティブ・運用といった社内の成果を束ねた提案書や報告書が中心になります。運用担当やプランナーとは、話す相手と判断する対象が異なります。

呼称は会社ごとに違い、名称だけでは担当範囲は判断できません。次の一歩として、志望する広告会社の募集要項を2社以上開き、「仕事内容」欄に書かれた範囲を並べて比べてみてください。そのうえで説明会では、新卒が最初に任される業務と繁忙期の理由を質問すると、自分に合う環境かどうかを判断する材料が増えます。